戸塚ヨットスクール事件と教育哲学 質疑応答その1

前の動画を見る  表紙  続きを見る

 戸塚氏が長年にわたるスクールでの成果を振り返ってまとめたのが、いわゆる「脳幹論」である。それについて詳述する紙数はないが、極めて大雑把に言えば、文明が発達したことによって現代人は精神を十分に鍛えられる機会を失い、その基礎を司る「脳幹」が虚弱可している、という仮説だ。「情緒障害児」に見られる様々な問題も、要するに根はそこにある。
 とすれば、トレーニングによってそれを強くする以外ない。物理的負荷をかけることで肉体を鍛える。具体的には、水というものへの本能的な恐怖を利用して、いわば安全に生命の危機を作り出し、自分一人の力でそれを乗り越えさせる。体罰は、自分から進んでトレーニングに打ち込むことのできない生徒にそれをやらせるための手段の一つにすぎないのだ。
<3万人のための情報誌「選択6月号」から抜粋>